第17回「パンダのエロビデオから」

2011.08.31(WED) UP

どーもみなさん。
突然ですが、中国にはパンダのエロビデオが存在するのを御存じでしょうか?
パンダは世界に1000頭くらいしかいないので、何とかして繁殖してもらおうとパンダの交尾シーンを録画して、それをパンダに見せているんだそうです。とても人間的発想で愉快ですが、案の定、効果はないそうです。
効果はないとわかっているのに、今度は日本でも同じようなことをやっています。その動物は絶滅危惧種のトキです。結論からいいますと残念ながら2003年に日本のトキはいなくなってしまったのですが、当時最後のトキ「キン」が生きていた時、なんとかしようと考えだされた案が、このエロビデオ大作戦だったのです。
しかし、当時のトキの「キン」は、すでにそうとうな御老人だったので、「繁殖」というテーマから考えるとエロビデオ以前の問題だったんじゃないかなと思います。
しかし、人の想いが奇跡を起こすことだって山ほど事例はあるものです。無謀とわかっていながらもトキのエロビデオ大作戦を実行したということは、裏を返せばそれだけそのスタッフが必死になってがんばったとも言えます。動物エロビデオ大作戦は、ぱっと聞きでバカげた話に受け取る方がいるかもしれませんが、「最後まであきらめない」という前向きなメッセージがあるとボクは感受いたしております。

さて、人間もそうですが、動物たるもの性衝動は子孫繁栄という意味ではなくてはならないものです。性行為をそのまま性衝動と言ってしまうと元も子もありませんが、すれ違いの女性にドキンとすることや大好きなアイドルについて想い馳せることも性衝動のひとつといえます。
堅い言い回しであえて表現しますと、動物はみなパートナー選びに夢中なのです。
人間は理屈っぽいですから、いろんなことをわかりにくくしてしまいますが、動物はシンプルです。動物をみれば人間がわかります。そういう意味でボクは動物の行動にとても興味があります。

たとえばクジャクのパートナー選びはとても興味深いです。
動物業界はオスがとても派手で、メスが地味ということが多々あります。人間界で例えると電飾演歌歌手とメイクさんのようになっています。無理に例えたせいで余計わかりにくくなりましたか、すいません。で、オスが派手な場合は決まってメスがパートナーを選ぶという構図になります。
クジャクの場合、みなさんもご覧になったことがあるかと思いますが、全力で羽根を広げてキンキンに気張っている状態の時、つまりあれはオスによるメスへのアピール中でして、メスはそのキンキンに広げている羽根の具合を見てパートナーを選びます。
ここで驚きの事実があります。
クジャクの羽には目玉のような模様がたくさんついているのですが、学者さんはそこに注目してすごくマメにデータを集めました。その結果、目玉の模様の数でモテ度が決まるということがわかったのです。
いやー、すごいことです。
わかりきったことですが人間の場合は、モテる人というのは見た目だけでは決まりません。経済力や包容力やギャクセンスの高さや…とにかくいろんな条件が多種多様にありまして、極端な例まで出しますとボクの変な女性友人の場合「単身赴任が似合いそうな年上のオッサン」という奇妙な条件でパートナー選びをしている人までいますから、ぱっと見た感じがそれほどカッコよくなくてもなんとかなるものです。
しかし、クジャクはとても容赦ないです。はい。目玉模様の数なんですから。
ところが、これは常識で考えておかしなことです。
クジャクが「数」の概念を持っているとはとても思えないからです。確かに、鳥類は人間が思っているよりも賢くて、たとえばカラスは4つくらいまで数を数えることができるといいます。でも、たとえいくつか数えられるとしてもクジャクの目玉模様は50個から100個くらいありますから、そんなに数えられるわけがありません。しかも、オスがキンキンに気張っている状態はそんなに長時間ではありませんから、もし数えていたとしても「1、2、3、4、5、えーっと6、…7、8、えー、ああ、ちょっと待ってーや!今数えてるからまだ閉じんといてや!」みたいなことになると思います。
でも、事実として目玉模様の数が多いほうがモテているわけです。
これには、学者さんも困ってしまいました。ボクも不眠症になってしまいそうでした。

しかし、近年、この謎が解ける仮説がでてきました。
それはシンメトリーというキーワードです。
学者さんによりますと、動物はパートナーが左右対称かどうかを見ているというのです。
結論から言いすぎましたね。
もう少し付け加えますと、動物は子孫繁栄のためにできるだけ強い遺伝子を求めているのだそうで、強い遺伝子ほど対ウイルス免疫が高いのだそうです。免疫力が高いとキズを受けない。つまり、強い遺伝子ほど、体の中心線を基準に左右対称になっているのだそうです。クジャクは羽根を数えていたわけではなくて、シンメトリーになっているかどうかを見ていたわけです。そして、よりシンメトリーに近いオスほど目玉の模様が多かったというなんだそうです。
うん、納得……、いや、まて。目玉模様の件はわかりましたが、結局、メスはシンメトリーかどうかを測っているということになります。うーん、我々人間もきれいな円と少し比率の違う円など、1ミリ以下の誤差でも目視で判断できますので、クジャクもそれができているのかもしれないと思いながらも、心からの納得はなんだか出来かねます。
謎は続きますね…。

さて、ようやく人間に戻って考えてみます。
人間も動物ですから、学者さんによりますと一応シンメトリーに近いかどうかは判断しているのだそうです。でも、先ほどの例もありますように、人間は実に様々な条件でパートナーを選びますので、ここで大事なことは「一応は判断している」というところです。

謎はひとつ解決するとまた大きな謎が出てきます。
自分のことなのによくわからないことがたくさんありますが、動物について調べることで少しだけ自分がわかる。そんな魅力が行動学にはあると思います。

で、どないやねんと言われますと、それまでのお話でして、先日友人にこの雑学を話したところなかなか反応が良かったので、はい、たったそれだけの理由で今回はシンメトリーのお話をさせていただきました。

最後まで読み終えた方、どうもおつかれさまでした。
それでは、ごきげんよう。

コメント / トラックバック3件

  1. 越後ねこ より:

    キンちゃんが死んでしまった時、
    とても悲しかったのですが…
    そのような事実があったとは驚きです…

    奥深いです、お話も、徳田さんも(^_^;)

  2. あーちゃん より:

    いつもながら奥が深いですね。
    これはまた友だちに自慢しておきますw

  3. あさぴ-ち より:

    徳田さん、ご結婚ほんまにおめでとうございます(^ω^)
    ちょっとさみしいけど、愛のうたがたくさん聞けることを楽しみにしています(^^)
    またどこかのライブ会場で会えますように(*^^*)

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